ホスピスや病院で使う雑巾作り。「一針一針に心を込め一瞬一瞬を大切にできる人生を送りたい」 との思いで1998年に岡崎ホスピスケアを考える会が生まれました。
私たちのねがい
今を大切に生きながら「いい人生だったね」と言えるようにホスピスケアの原点である『温かいもてなし』をそれぞれの立場(患者・家族・遺族・医療者・宗教家・ボランティアなど)で互いに支えあいたいと願う会です
岡崎ホスピスケアを考える会の紹介 2000年11月記
「岡崎ホスピスケアを考える会」は、3年前「あいちホスピス研究会」のたんぽぽグループでの雑巾づくりというボランティアを岡崎に持ち帰ったのが始まりです。20代から80代まで世代を越えて話す中で「一針一針に心を込め、一瞬一瞬を大切にできる人生を送りたい」という思いで発足しました。
ホスピスとは「暖かいもてなし」という意味であると伺ったことが忘れられません。そのもてなしの心に拍車をかけて下さったのが、雑巾を差し上げていた県立愛知病院の前看護婦長さんでした。「雑巾は拭くためだけにあるのではなく、その時間、患者さんとおしゃべりしそっと様子を観て心を通わせる大切な道具です」と1枚の雑巾が果たす意味を教えていただきました。
この雑巾をつくる「手縫いの会」では病院で使っていただく小物作りもしています。ここでは会員外の方たちも支えて下さっています。手は動くからと自宅で黙々と縫ってくださる80歳、90歳の先輩たち。またクラス全員で仕上げたという雑巾を通して小学生との交流も始まりました。手に何回も針を刺しながら、「病気で苦しむ人のことを思い縫った」という雑巾を前にし、張り裂けるほどの愛おしさと畏敬の念を感ぜずにはいられません。
他に私たちの会では、月1回の勉強会を行い講師の方たちから暖かいもてなしを受けています。三河地方のガンセンターと呼ばれる愛知病院の有吉院長は、「カルテは患者のもの」というお考えのもとに、会で作っている「私のカルテ」づくりに協力していただいています。
安江前副院長の「死の準備教育」は入院中の患者さんも多数参加され好評でした。ガンの告知を受けていたYさんは「本音で話していただき、悟りを開いたような気持ちです」と感想を寄せられました。その後、旅行もし、孫の傍らで過ごされましたが、先日「今日は最高にいい気分だ」という言葉を遺して病院で亡くなられました。
Yさんが望んでおられた在宅でのホスピスケアができるように、地域医療、福祉、心理、ボランティアなどの連携システムが明確になればと思っています。
今年から岡崎市民病院でも勉強会を開いていただけるようになりました。石井院長は、「医師も解りやすい説明に努めるけれど、自分の人生は自分で選択できるよう勉強して欲しい」と言われ「ガンの痛み」について講演していただきました。そこには看護婦・技師・ソーシャルワーカーの方たちも参加され、それぞれの発言も聞くことができました。
12月は鈴木副院長に「延命治療とは」と題しお願いしています。
死を受け入れることは、自分自身に対する最高のもてなしだと思います。岡崎在住の宗教家との勉強会は、価値観を見直すチャンスとなりました。「どんな悲しみの中にも喜びの種がかくされている」「死は悲しいけれど不幸ではない。死を学ぶことによってそれがわかる」と、キリスト教・仏教から、今生きていることに意味があることを教えられました。
このような勉強会を行うなかで参加者から希望があがり、患者や家族、遺族の方たちの集いも準備中です。
身近で感じる一人一人の暖かいもてないしの心を糧にして、これからも医療者など多くの方たちと交流しあい、次代を担う子どもたちも輪の中に入れて、ゆっくりと、それぞれがそれぞれの場所で、同じ目的に向けて歩んでいけたらと思っています。
たんぽぽの綿毛が岡崎の地に落ちて小さく咲いています。